- 不動産投資のメリット
不動産投資の利回りは何%が理想?計算方法や相場、注意点をわかりやすく解説

不動産投資を始めたいけれど、「利回りという言葉が難しい」と感じていませんか?不動産投資の物件選びにおいて、利回りは大変重要な項目です。また、不動産の広告で表示されている利回りの意味を知らずに不動産投資を始めると、実際は思い通りの利回りにならないかもしれません。この記事では、不動産投資の利回りや計算方法などについて解説します。不動産投資の利回りや物件タイプ別の利回りを知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
不動産投資の利回り理想は何%?

不動産投資における理想の利回りは、新築と中古では異なり、物件タイプによる違いもあります。仮に立地条件が同じであれば一般的に利回りは新築物件のほうが購入価格が高いため低く、中古物件のほうが高くなります。一方で、中古物件で収益を上げるには、新築物件よりも高い利回りを確保することは必須です。新築物件は、購入からしばらくの期間は修繕費用がかからず、空室のリスクも抑えられます。これに対して中古物件は修繕費用がかかり、空室のリスクを抑えるためには家賃を下げる必要に迫られることもあるためです。
理想の利回りは、新築物件は3~10%、中古物件は5.5~15%です。
物件タイプ別の不動産投資の理想的な利回りを以下にまとめました。
| 物件タイプ | 利回りの理想 |
|---|---|
| 区分マンション | 新築:3~4%、築20年程度:5.5%、築20年超:7~8% |
| 一棟マンション、一棟アパート | 新築一棟アパート:8%、新築一棟マンション:6%、 中古一棟アパート:9~10%、中古一棟マンション:7~8% |
| 一戸建て | 新築:10%、中古:15% |
区分マンションは、新築物件は購入価格が高くなるため、3~4%の利回りが理想です。中古物件は修繕費用を踏まえると、築20年程度では5.5%、築20年を超える物件では7~8%が目安となります。
一棟アパートと一棟マンションでは、一棟マンションのほうが一般的に購入価格が高いです。エレベーターの維持費用がかかることからも、利回りが低い傾向があります。新築一棟アパートは8%、新築一棟マンションは6%の利回りが理想です。中古物件は管理費用や修繕費用を踏まえて1~2%上乗せして、中古一棟アパート9~10%、中古一棟マンション7~8%の利回りが理想となります。
一戸建ては地域によって大きく異なりますが、新築物件は10%、中古物件は15%の利回りが理想です。
そもそも利回りとは?

利回りとは、投資金額に対する利益の割合です。不動産投資における利回りとは、物件価格に対する1年間の運用収益の割合をいいます。利回りは、投資物件を選ぶ上で重要な指標です。
利回りと利率との違い
利回りと似ている言葉に「利率」という言葉があります。利率とは、元本に対して受け取る利息の割合のことを表します。
利率が債券や預金から得られる利息の割合であることに対し、利回りは、家賃収入、金利、不動産、投資信託の売買損益を含めた元本に対しての総合的な「利益率」を表しているといった違いがあります。
利回りは4種類ある
不動産投資で「利回り」という言葉はよく耳にしますが、実際には4種類の利回りがあり、それぞれ意味も計算方法も異なります。異なる利回りで比較してしまうと、正確に物件を見極められません。ここでは4つの利回りについて、それぞれ解説します。
表面利回り
表面利回りは「物件価格に対して家賃収入がどれくらい見込めるか」を示す指標であり、グロス利回りと呼ばれることがあります。複数の投資物件を絞り込む際に用いられ、以下の計算式で比較的簡単に求められます。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
税金や管理費などの物件を維持する費用は含まれないため、実際の収益性より高く見える可能性がある点に注意が必要です。物件広告や販売サイトに掲載される数値は、一般的に表面利回りが用いられます。表面利回りで大まかな目安をつかみ、詳細に検討する際は費用や空室を反映した数値を確認すると、投資物件を判断する精度が上がります。
実質利回り
実質利回りは、購入時と運用中の費用を差し引いて算出するため、不動産投資の現実に近い指標です。実際に手元に残る利益に近い数値になるため、物件の比較や購入判断で役立ちます。計算式は、以下のとおりです。
実質利回り(%)=(年間家賃収入−年間の経費)÷(物件価格+購入時の諸費用)×100
計算式の「年間の経費」には、以下のようなものがあります。
- 固定資産税
- 管理費
- 修繕積立金
- 保険料
表面利回りは「経費を差し引く前の理論上の数値」であり、実質利回りは「実際の支出を反映した現実的な収益に近い数値」です。そのため表面利回りが高くても、経費が多い物件では実質利回りが低くなります。投資物件は表面利回りで候補を絞り、実質利回りを計算することで実情の収益性を比較して判断できます。
想定利回り
想定利回りは、満室の状態が1年間続いたと仮定して算出される数値で、理論上の最大値を示します。新築物件や販売直後など、実際の入居実績がまだ無い場合に使われます。想定利回りの計算式は、以下のとおりです。
想定利回り(%)=満室時の年間家賃収入÷物件価格×100
空室や家賃の下落といった現実的なリスクを考慮していないため、実際よりも高い利回りに見えることがあります。広告や販売サイトで表示されている利回りが、満室を前提にした数値なのかを確認することが大切です。想定利回りはおおまかな収益性を判断する目安となりますが、購入を検討する段階では実質利回りを基準にすることで、手元に残る収益をより正確に把握できます。
現行利回り
現行利回りとは、現在の入居状況をもとに算出した実際の利回りです。「現時点でどれだけ家賃収入があるか」を反映する数値で、現実的な収益の把握に役立ちます。現行利回りの計算式は、以下のとおりです。
現行利回り(%)=(年間の実際の家賃収入÷物件価格)×100
満室を前提にする「想定利回り」や、諸経費を含めた「実質利回り」と異なり、今の稼働率を基に算出する点が特徴です。現行利回りを確認することで、家賃の見直しや管理体制の改善など、運営方針の検討につながります。
ただし、現行利回りは家賃収入だけを基に計算するため、管理費や修繕積立金などの経費は反映されません。最終的な利益を把握するには「実質利回り」と比較しながら検討することで、より現実的で堅実な投資が可能です。
不動産投資の利回りの平均相場と最低ライン

築年数や物件のある地域にもよりますが、物件タイプ別の不動産投資の利回りの平均相場と最低ラインは、以下の通りです。
| 物件タイプ | 表面利回りの平均相場 | 最低ライン |
|---|---|---|
| 区分マンション | 約3.0~5.0% | 約3.0% |
| 一棟マンション | 約8.0% | 約3.0% |
| 一棟アパート | 約8.5% | 約5.0% |
| 一戸建て | 約6.0~8.0% | 約5.0% |
区分マンションの表面利回りの平均相場は約3~5%で、最低ラインは約3%です。一棟マンション、一棟アパートは表面利回りの平均相場が高く、それぞれ約8%、約8.5%です。最低ラインは一棟マンションは約3%、一棟アパートは約5%と、平均相場よりも低い水準でも収益を確保しやすいのが特徴です。
一戸建ては表面利回りの平均相場は約6~8%ですが、最低ラインは約5%になります。
地域別の利回りの相場は以下のとおりです。
| 地域 | 区分マンション | 一棟アパート | 一棟マンション |
|---|---|---|---|
| 首都圏 | 6.52% | 7.56% | 6.75% |
| 北海道 | 11.89% | 11.26% | 8.87% |
| 東北 | 12.56% | 11.81% | 10.74% |
| 信州・北陸 | 15.86% | 12.44% | 12.24% |
| 東海 | 8.96% | 9.16% | 9.12% |
| 関西 | 7.19% | 8.88% | 8.34% |
| 中国・四国 | 12.80% | 11.17% | 11.94% |
| 九州・沖縄 | 10.14% | 9.06% | 9.23% |
いずれの物件タイプも、首都圏が最も利回りが低く、次に関西が続きます。一方で、地方のほうが利回りが高い傾向です。また全体としては、利回りは物件タイプによる違いもありますが、地域による差が大きいといえます。
利回りの計算方法

利回りは、以下の4つの種類に分類されます。
- 表面利回り
- 実質利回り
- 想定利回り
- 現行利回り
各利回りの定義と計算方法について、紹介します。
表面利回り(グロス)
表面利回り(グロス)は、不動産投資で一般的に用いられる数値で、年間の不動産投資の利益の合計を物件価格で割ることで計算できます。不動産会社が物件紹介などで表示している利回りは、表面利回りであることが多いです。
| 表面利回り=(年間の不動産投資の利益÷物件価格)×100 家賃収入300万円、物件価格5,000万円の場合 (300万円÷5,000万円)×100=6.0% 表面利回りは6.0% |
実質利回り(ネット)
実質利回り(ネット)とは、不動産投資の家賃収入から、かかった経費などを差し引いたものを物件価格で割ったものです。物件購入の経費には、火災保険料、ローン事務手数料、登記費用、各種税金などが含まれます。
| 実質利回り={(年間の不動産投資の収入-不動産投資でかかった経費)÷物件価格}×100 家賃収入300万円、物件価格5,000万円、経費30万円の場合 {(300万円-30万円)÷5,000万円}×100=5.4% 実質利回りは5.4% |
想定利回り
想定利回りとは、アパートなど複数の部屋がある物件の不動産投資で、満室経営を想定した家賃収入を物件価格で割ったものです。
| 想定利回り=(満室経営を想定した家賃収入÷物件価格)×100 物件価格5,000万円、1部屋あたり年間家賃72万円、6部屋あるアパートで空室がないと仮定した場合の想定利回り {(72万円×6部屋)÷5,000万円}×100=8.64% 想定利回りは8.64% |
想定利回りは、「複数の部屋すべてに入居者がいる」と仮定した場合の家賃収入をもとに計算しています。そのため、仮に空室が発生すれば、実際の利回りは、想定利回りよりも少なくなります。不動産投資の広告などに掲載されている利回りは、想定利回りで掲載されており、実際の利回りよりも高いものが表示されていることがあるため、注意が必要です。
現行利回り
現行利回りは、空室となっている部屋の家賃は家賃収入に含まず、実際に入居者から得られる家賃収入を物件価格で割ったものです。
| 現行利回り=(実際の家賃収入÷物件価格)×100 物件価格5,000万円、1部屋当たり年間家賃72万円、6部屋のうち1部屋が空室となっている場合の現行利回り {(72万円×5部屋)÷5,000万円}×100=7.2% 現行利回りは7.2% |
利回りが低くても資産価値のある物件の特徴

利回りが低い物件の場合、収益性も低くなる傾向がありますが、たとえ利回りが低くても購入を検討したい物件があります。主な特徴3つを紹介します。
1.人気エリアにある物件
利回りが低くても、人気エリアにある物件なら需要があるため購入を検討する価値があります。例えば、東京23区、横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市など人口が100万人以上の都市にある物件が挙げられます。
ほかにも人口が増加しているエリア、例えば流山市や印西市、つくば市なども選択肢に入るでしょう。
これらの都市では、ファミリーをはじめ単身者や学生など多様な世帯が存在するため、空室リスクを軽減することが可能です。
2.定期的な修繕・点検が行われている物件
利回りが抑えられた物件であっても、定期的に修繕や点検が行われるなどきちんと管理されていれば、購入する物件の選択肢の一つになります。
修繕費を確実に積み立てており、建物内や駐車場などの管理が徹底している物件は、資産価値を保ちやすいです。購入後に高額な修繕費用がかかるリスクを減らせます。
また、メンテナンスが行き届いている物件は、入居者からの評価も高くなるため、空室リスクを軽減できる効果も期待できます。
3.低金利での借入が可能な物件
検討する物件が金融機関から高い評価を得ていると、低金利での借入ができる可能性があります。適用される金利が低いほど支払利息を減らせるため、毎月の支払い負担を軽減できます。
結果として、低リスクで安定的な運用を行うことにつながります。
比較的利回りが低めの物件を購入し、リスクを抑えた運用をするのも一つの方法です。
不動産投資の利回りを改善する3つの方法

不動産投資で安定した収益を確保するには、利回りをただ計算するだけでなく、どうやって改善していくかが大切です。購入後の運用次第で、同じ物件でも利回りは大きく変わるため、戦略的な取り組みが欠かせません。ここでは、利回りを改善する3つの実践的な方法を解説します。
家賃収入を増やす
不動産投資の利回りを改善する最も効果的な方法は、家賃収入を増やすことです。家賃は不動産投資のメインの収益源であり、収入の増減が利回りに反映されます。利回りを高めたい場合は、以下の2つの施策が重要です。
- 満室に近づける
- 空室期間を短くする
満室に近づけるためには、入居者に選ばれる物件にする必要があります。家賃相場に対して賃料が高すぎると入居者が集まりにくく、一方で安すぎると収益が伸びません。そのため、周辺エリアの家賃相場を調査し、適正な価格に調整することが大切です。
空室期間を短くするために、入居希望者がすぐ住みたいと思える環境を整えることが重要です。具体的には「退去後すぐにクリーニングや修繕を実施」「無料Wi-Fiや温水洗浄便座などの人気設備を導入する」などが挙げられます。
家賃収入を増やすための取り組みは、単に利回りを改善するだけでなく、長期的に安定した経営を維持するための基盤づくりにもなります。
ローンを繰り上げ返済する
利回りを改善するためには、ローンの返済負担を軽くすることも有効です。毎月の返済とは別に、まとまった金額を返済して元本を少なくする「繰り上げ返済」を行うことで、利息の支払い総額を減らせます。結果として総支払額を抑えられ、キャッシュフローが改善します。さらに、返済期間を短くできる場合もあり、将来的な負債リスクを軽減できます。
繰り上げ返済には、返済額はそのままで残りの返済期間を短縮する期間短縮型と、返済期間は変えず、毎月の返済額を減らす返済額軽減型があります。期間短縮型は、支払う利息を減らせるため、長期的な利回り改善効果が高いです。返済額軽減型は、月々の支出を抑えられるため、キャッシュフローを安定させたい場合に向いています。
繰り上げ返済には、手数料や適用条件が設けられている金融機関があります。返済金額やタイミングに制約がある場合は、事前に契約内容を確認しましょう。
リフォームや設備投資する
建物の見た目や使い勝手を改善することで入居者の満足度が上がり、結果的に空室期間を短くして家賃収入を安定させる効果が期待できます。古くなった壁紙や床材を新しくするだけでも、部屋の印象は大きく変わります。第一印象が良くなると、内見時に入居を決めてもらいやすくなり、空室のリスクが軽減されます。
水回りや照明器具の交換も有効です。キッチンやトイレ、洗面台といった設備は入居希望者が特に重視するポイントであり、清潔感と機能性を高めることで競合物件との差別化が図れます。
小規模なリフォームでも、見た目と快適性が改善されることで入居が決まりやすくなり、結果として利回りを押し上げることが可能です。ただし、リフォームや設備投資はコストも発生するため、費用対効果を見極めた計画が重要です。
利回りが高い物件で注意したい3つのリスク

利回りの高い物件は魅力的ですが、何かしらの理由がある可能性があります。利回りが高い理由を理解せずに購入すると、思わぬリスクを抱える可能性があります。ここでは、高利回り物件に潜む3つの代表的なリスクを解説します。
空室リスク
利回りが高いということは、家賃収入に対して物件価格が安いという意味です。価格が安いケースでは、以下の要因が考えられます。
- 築年数が古い
- 立地条件が悪い
- 賃貸需要が限られている
たとえば駅から遠くて交通の便が悪く、人口が減少している地方エリアであれば、入居希望者が少なくなりがちです。表面上の利回りは高く見えても、実際には退去や募集期間が発生するため、常に満室を維持できるとは限りません。募集広告の数字だけを鵜呑みにせず、実態を反映した利回りを確認することが大切です。
周辺相場よりも家賃が高すぎる物件は、入居者が集まりにくく空室が長期化する傾向があります。一方で極端に家賃が安い場合は、物件の状態や管理体制に不安が残るため注意しましょう。
空室は、不動産投資においては最も注意すべきリスクの1つです。しかし、事前の調査と効果的な運用によって、空室リスクを軽減できます。見た目の利回りよりも「実際に安定した家賃収入が得られるか」を重視して判断するようにしましょう。
修繕リスク
高利回りであっても築年数が経過した中古物件であれば、購入後すぐに修繕費が必要になることがあります。屋根や外壁など建物の基本構造部分が劣化している場合、購入当初は高い利回りに見えても、実質的な収益は低下してしまう点に注意が必要です。
管理費や修繕積立金を低めに設定している物件は、一見するとランニングコストが少なく魅力的に見えます。しかし将来必要な修繕積立金が不足していると、工事する際に不足する差額を自己資金で追加投入しなければいけません。修繕リスクを見極めるためには、購入前に以下のポイントを確認することが重要です。
- 過去に行われた修繕履歴や点検記録が残されているか
- 配管や屋根など、主要構造部分の改修履歴があるか
- 近い将来、修繕が必要になりそうな箇所がないか
上記の情報がきちんと開示されていない場合、建物の状態を正確に把握できない可能性があります。建物管理が行き届いていない物件は、修繕計画自体が立てられていないこともあるため注意が必要です。
違法建築リスク
相場よりも極端に高い利回りが提示されている場合、違法建築リスクが潜んでいることがあります。違法建築とは、建築基準法や地方自治体の条例などに違反して建てられた建物です。
違法建築と判明した場合、行政から是正勧告や指導を受ける可能性があります。たとえば、建ぺい率や容積率を超えている場合、建て替えや増改築ができない可能性があります。構造上の安全性や防火性能に問題がある場合は、改修工事を求められるケースもあるでしょう。
また、金融機関は建築基準法に適合していない物件への融資を避ける傾向があります。違法建築物件は担保価値が低いと判断されるため、銀行融資が通りにくいです。
さらに、違法物件は買い手がつきにくく流動性が低いため、売却時に価格が下がりやすいといえます。一時的に高い利回りを得られても、出口戦略を描きにくい点は大きなリスクです。
利回りをチェックする際の注意点

不動産投資の物件選びで、利回りは大変重要な項目です。しかし、一概に利回りの高い物件が優れた投資物件であるというわけではありません。その理由について解説します。
極端に高い利回りは条件を確認する
不動産投資用物件は、広告や物件資料などに利回りが記載されているのが一般的ですが、相場よりも極端に高い物件は実態とかけ離れている可能性があるため、算出条件の確認が必要です。広告や物件資料などに記載されている利回りは表面利回りがほとんどで、購入時の諸経費や賃貸経営の諸経費、あるいは空室リスクを見込んでいないためです。
また、「立地が悪い」「築年数が古い」「耐震性が低い」といった理由で物件価格が安いために、利回りが高くなっているケースもあります。特に築年数が古く、1981年以前に旧耐震基準のもとで確認申請が下りた物件は、金融機関からの融資を受けにくいという問題があります。ほかにも、土地の権利形態が借地権の物件は、売却のしにくさから出口戦略が立てにくいことが難点です。
一棟アパートや一棟マンションの場合は、満室時の想定利回りが表示されていることが一般的です。しかし実際には、空室が目立つ物件では、想定利回りとはかけ離れた収益しか見込めません。
不動産投資物件を検討する際には、区分マンションであれば管理費や修繕積立金を入れるなど、可能な範囲で諸経費を含めた実質利回りを計算してみることが大切です。また、一棟アパートや一棟マンションでは想定利回りを鵜呑みにせず、空室を確認して現行利回りを算出しましょう。
利回りの高さだけで判断しない
不動産投資用物件の購入を検討する際には、利回りの高さ以外にも重視するべきポイントがあります。「利回りが高い物件=投資対象として優れた物件」であれば、利回りの高い物件から売れていくはずです。
実際のところでは、資産価値が高い物件は物件価格が高いことが多く、利回りは低いことが少なくありません。しかし、立地条件が優れていて設備のスペックが高い物件は、賃貸物件として人気が高く空室リスクが低いことから、利回りがさほど高くなくても、投資対象として優れています。
そこで、不動産投資用物件を検討する際には、表面利回りだけで判断することなく、空室期間や諸経費を盛り込んだシミュレーションを作成することがポイント。できれば現地に足を運び、交通利便性や周辺の商業施設の使い勝手などを体感してみるなど、詳細まで確認して購入の判断をしましょう。
投資前のシミュレーションが重要
物件を選ぶ際には、投資前にシミュレーションを行うことが大切です。シミュレーションをする目的として、次のような理由が挙げられます。
収益性を可視化するため
不動産投資の物件選びでは、利回りの高さが注目されがちですが、公表されている利回りだけでは現実的な収益性を知ることは難しいです。というのも、諸経費や空室が生じた場合などを組み込んでいないことがあるためです。
どのような経費がいくらかかるのかを洗い出すほか、銀行への返済や管理会社への支払いが、どのタイミングでいくら発生するのかなどを確認しましょう。
シミュレーションすることで、実際の手取り収入が把握でき、物件が今後順調に利益を出せるのかを確認できます。
損失を最小限に抑えるため
物件を取得後に、予期せぬ事態が発生する可能性があるため、損失をできるだけ抑えられるような対策を考える必要があります。
空室リスクだけでなく、設備の故障や自然災害による建物の損壊など、さまざまなリスクが考えられます。こういった事態になっても、対処できる資金や方法があるかを判断するために、シミュレーションが役立ちます。
売却タイミングの見通しを立てるため
不動産投資においては、物件の購入だけでなく最適な売却のタイミングを図るという出口戦略が重要です。
一般的に、物件は年数が経過するほど資産価値が下落し、家賃収入も減少していきます。同時に、経年劣化による修繕費もかかることが多いです。賃料の変動予測や修繕計画を組み込んだ収支シミュレーションを行うと、不動産売却の選択肢も取ることが可能となります。
(参考)不動産投資で利回り以外にチェックすべき5つの指標

利回りは重要な目安ですが、実際の収益性や資金効率を正しく把握するには、ほかの指標も併せて確認することが不可欠です。ここでは、利回りだけではわからない要素を補い、安定した資産運用に役立つ指標の意味と特徴を解説します。
実効総収入(EGI)
実効総収入(EGI)は、現実に近い1年間の総収入を表す指標です。満室ベースの家賃から空室や滞納による損失を差し引き、駐車場や看板料などの雑収入を足して求めます。満室想定だけを見るより実態に近づけられるため、物件の基礎体力を把握するのに役立ちます。EGIを求める計算式は、以下のとおりです。
EGI=満室時の年間賃料-空室・滞納の損失+雑収入
空室や滞納の想定によって、EGIの数値は変わります。物件を比較する際は、同じ条件で計算すると正確な判断がしやすくなります。
純営業利益(NOI)
純営業利益(NOI)とは、物件の運営によって得られる純粋な利益を示す指標です。家賃収入などの総収入から、管理費や税金などの実際に発生する経費を差し引いて算出します。計算式は、以下のとおりです。
NOI=EGI(実効総収入)-年間運営経費
年間運営経費には、管理会社への委託費用や保険料などが含まれます。経費は実際に支払う必要があるため、想定を誤るとNOIの値が大きく変わる点に注意が必要です。たとえば、修繕費を過小に見積もると表面上の利益が大きく見えますが、実際の運用では手元に残る利益が減少してしまいます。
NOIは金融機関や不動産投資家が、物件の収益力を評価する際の基準としても用いられます。物件の収益性をより正確に把握するために、投資判断の基礎となる重要な数値です。
総収益率(FCR)
総収益率(FCR)は、物件がどれだけ「本来の力で利益を生み出せるか」を示す指標です。ローンなどの影響を除き、物件そのものの投資効率を測るために使われます。計算式は、以下のとおりです。
FCR(%)=NOI÷投資総額×100
投資総額とは、物件価格に加えて仲介手数料や登記費用など、購入時に発生する諸費用を含めた金額です。実際にかかった総コストを考慮することで、より現実的な収益率を把握できます。
FCRは、表面利回りや実質利回りでは考慮されにくい購入時の初期費用を含めるため、物件の収益力を正確に評価できます。ただし、FCRにはローン返済額や金利が含まれません。そのため、手元に残るキャッシュフローとは異なります。
投資利益率(ROI)
投資利益率(ROI)は、不動産投資の効率を測る基本的な指標で、投資額に対してどれだけ利益を得られたかを示します。数値が高いほど、投入した資金を効率よく回収できていることを意味します。ROIの計算式は、以下のとおりです。
ROI(%)=年間キャッシュフロー÷購入総額×100
年間キャッシュフローとは、年間の家賃収入から修繕費や管理費などの運営にかかる費用を差し引いた実際の手残り金額を指します。購入総額は、物件価格に加えて仲介手数料や保険料などの諸経費を含めた総投資額です。
ROIは、投資対象の収益性を直感的に比較できます。ROIが高い物件ほど、少ない資金で多くの利益を生み出していると判断できます。ただし、1年間のキャッシュフローを基準にしているため、大規模修繕が発生する年はROIが一時的に低下します。
内部収益率(IRR)
内部収益率(IRR)は、投資期間中のお金の出入りのタイミングまで考慮し、物件の効率性を数値で示す指標です。早期に利益を得られるほどIRRは高くなるため、資金回収のスピードを反映できます。単年の利回りでは比較しにくい、期間や金額が異なる投資の比較に向いています。
数式は複雑になるため、表計算ソフトの関数で求めるのが一般的です。表面利回りや実質利回りは1年の収支を割合で見るのに対し、IRRは投資開始から終了までの全期間を評価します。
IRRは、年間キャッシュフローの資金繰りの余裕を直接示す指標ではないため、NOIやFCRなどの指標と合わせて確認しましょう。
不動産の利回りに関するよくある質問

Q.不動産投資の利回りは何%がいい?
理想の利回りは物件タイプによって異なります。区分マンションは、新築物件が3~4%、中古物件が5.5%~8%です。
一棟アパートは、新築物件が8%、中古物件が9~10%。一棟マンションは、新築物件が6%、中古物件が7~8%です。
戸建ては、新築物件が10%、中古物件が15%ですが、地域によって大きな差があります。
地域による差を踏まえると、「地域別の物件タイプごとの相場 + 1~2%」が目安となります。
Q.不動産投資の実質利回りの目安は?
不動産投資用物件を検討する際に、投資家は実質利回りを判断基準としています。首都圏の区分マンションであれば、新築・中古問わず実質利回りの目安は3~4%前後です。
Q.不動産投資は何年で回収する?
ローンを利用して不動産投資用物件を購入する場合も、仲介手数料や登記費用などの初期費用が必要であり、頭金が必要なケースもあります。
不動産投資の初期費用の回収期間の目安は5~10年です。物件購入時の自己資金を回収するまでの期間が長期化すると、初期費用を回収できても、同時に修繕費用という新たなコストが発生することになります。一方で回収期間を短くしようとすると、エリアの相場よりも家賃を高く設定しなければならないなど、無理が生じやすいです。
自己資金を抑えて購入し、10~15年間でローンを減らし、その後売却することで利益を狙う方法もあります。
Q.不動産投資の回収期間はどうやって計算する?
不動産投資の回収期間を算出する前に、まず、「CCR(自己資金収益率)」と呼ばれる物件の購入時の自己資金に対する年間の収益の割合を求めます。CCR(%)を求める計算式は、「年間収益額(12ヶ月分の家賃-12ヶ月分の諸経費)÷投下した自己資金の額×100」です。CCRを算出することで、1年間で自己資金の何%を回収できるかわかります。そして、回収期間は「100%÷CCR」で算出することができます。
<例:自己資金500万円、家賃10万円/月、管理費や修繕積立金、固定資産税などの諸経費40万円/年>
CCR:(10万円×12-40万円)÷500万円 × 100=16%
回収期間:100%÷16%=6.25 約6年3ヶ月
Q.利回りは建物の構造によって異なる?
不動産の利回りは、物件の構造により異なります。利回りが高い順に、木造、鉄骨、RC(鉄筋コンクリート)となるのが一般的です。
というのも、木造が建設費用を安く抑えやすく、RCは物件の取得費用が高額になりやすいためです。
ただし、木造は経年劣化が早いため、その分定期的なメンテナンスや修繕が必要になります。最終的にどちらが有利なのかを、慎重に検討することが大切です。
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まとめ
不動産投資における利回りには表面利回り、実質利回り、想定利回り、現行利回りという種類があります。不動産広告や不動産業者の物件資料などで用いられているのは、表面利回りや想定利回りです。表面利回りの相場を把握しておくと、不動産投資用物件を検討する際の判断基準の一つになります。ただし、表面利回りには諸経費が反映されていないため、実質利回りを算出するとともに、利回りだけで判断しないことが大切です。
不動産投資をこれから始めたい方向けに、「利回りの考え方」「物件の見極め方」などをまとめた資料やセミナーをご用意しています。不動産投資のスタートにぜひお役立てください。











