- 不動産投資の基礎知識
海外不動産投資で収益を得る仕組みを解説|8つのメリット・デメリットも紹介

海外不動産は利回りが良いと聞くものの、未経験者にとっては「本当に手を出していいのだろうか」と不安に感じる投資手法ではないでしょうか。海外不動産投資は、日本だけでなく海外にも資産を分散することで、リスクを抑えながら高い収益性を狙える投資手法として注目を集めています。
しかし国内の不動産投資とは異なり、物件管理や経済状況の見極めが難しく、国ごとで法律や税制が違うことによるリスクも存在するため、十分な理解なしに始めるのは危険です。そこで本記事では、海外不動産投資の基本的な収益構造から、具体的なメリット・デメリット、さらに成功するためのポイントまで詳しく解説します。
海外不動産投資で収益を得る仕組み

海外不動産投資は、海外にある土地や建物などの不動産を購入し、賃貸物件として貸し出したり、売却したりすることで収入を得る投資方法です。収益構造は日本の不動産投資と同じで、キャピタルゲイン(売却益)とインカムゲイン(家賃収入)の2種類があります。
キャピタルゲインは、投資用物件を売却した際に購入価格との差額で得られる利益です。経済成長が著しい国や都市開発が進む地域では、不動産価格の上昇により大きなキャピタルゲインが期待できます。一方、インカムゲインは毎月の家賃収入から得られる利益で、長期的な資産形成における安定した収入源となります。
このような収益が期待できる海外不動産投資ですが、実際に投資を検討する際には税制面での理解も欠かせません。日本在住者が海外不動産から収入を得た場合、日本国内での所得税の対象となります。海外での不動産所得は、日本では総合課税の対象となり確定申告が必要です。
また、投資先国でも納税義務が発生する場合があるため、二重課税を避けるための租税条約や外国税額控除についても事前に確認しておく必要があります。投資用不動産の利益や利回りの仕組みについて、より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
投資用不動産とは?利益の仕組みや特徴・利回りについてわかりやすく解説
海外不動産投資の3つのメリット

海外不動産投資を行うメリットは、主に以下の3つです。
- 資産のリスク分散になる
- 高利回りの物件を所有しやすい
- 為替レートの恩恵を受けられる可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
資産のリスク分散になる
海外不動産投資のメリットの1つが、地理的なリスク分散効果です。日本と海外では経済成長率やインフレ率、金利水準が異なるため、一方の市場が低迷した際に他方でカバーできる可能性があります。
また、自然災害リスクという観点でも海外不動産投資は効果的です。日本は地震や台風などの自然災害が多い国であり、これらが不動産市場に与える影響も考慮する必要があります。国土交通省の資料によると、今後30年以内の大地震発生確率は南海トラフ地震で70〜80%、首都直下型地震で70%程度です(※)。
これらの大規模災害が発生すれば、国内の不動産市場全体に深刻な影響を与える可能性があります。海外不動産に投資することで、日本固有の災害リスクに左右されない収益源を確保でき、長期的な資産の安定性向上が図れます。
(※)参考:国土交通省|巨大地震のリスク
高利回りの物件を所有しやすい
海外の不動産投資では、日本と比較して高い利回りを期待できる傾向にあります。利回りとは、投資元本に対するリターンの割合を示す指標です。経済成長や人口増加が著しい国では不動産需要が高まり、大きな投資効果を得やすいでしょう。
国際的な不動産情報を提供するGlobal Property Guideによると、2025年第1四半期の総利回りが各国で差があることが確認できます。例えばフィリピンでは5.12%、タイでは6.17%の利回りが報告されており、これに対して日本の利回りは4.22%です。(※)このような高利回りの海外物件を所有することで、国内投資を上回る収益が期待できます。
(※)参考:Global Property Guide
為替レートの恩恵を受けられる可能性がある
為替変動による差益も、海外不動産投資の魅力の1つです。例えば、円安局面では現地通貨による収益を円換算した際に利益が増加し、投資リターンの向上が期待できます。一例として、アメリカの不動産に投資したケースで考えてみます。
投資時に1ドル=100円だった為替レートが、数年後に1ドル=150円の円安になったとします。現地で毎月1,000ドルの家賃収入を得ていた場合、投資当初は月10万円相当です。しかし、円安後は月15万円相当の収入となり、為替変動だけで5万円も収益が増加します。
ただし、為替は常に変動するため、逆に円高になれば収益が減少する可能性もあります。先ほどの例で1ドル=80円の円高になれば、月収は8万円相当まで下がってしまうでしょう。
投資先を選ぶ際は、その国の通貨の特徴を知ることが大切です。アメリカドルのように世界中で使われる安定した通貨なら、極端な変動をする可能性は比較的低いといえます。一方、経済成長中の国の通貨は将来的な上昇が期待できる反面、変動幅も大きくなる傾向があります。為替の動きを予測するのは困難ですが、投資先通貨の特性を理解して選択することが重要です。
海外不動産投資の5つのデメリット

海外不動産投資を行うデメリットには、以下の5つがあげられます。
- 物件管理や入居者対応が難しい
- 経済状況が不安定な国の見極めが難しい
- 融資を受けるのが難しい
- 国ごとで法律や税制の違いがリスクになる
- 信頼のおける現地の賃貸管理会社を見つけるのが難しい
それぞれ詳しく解説します。
物件管理や入居者対応が難しい
海外にある物件の管理は非常に困難で、設備の故障やトラブルが発生した際にオーナー自らが現地で対応するのは現実的ではありません。メールや電話、チャットでのやり取りも可能ですが、言語の壁や時差の問題があります。さらに現地の商習慣や法律に詳しくないことで、入居者対応やメンテナンス、空室対策などが適切に行えない恐れがあるでしょう。
現地の管理会社に委託する方法もありますが、その信頼性を確認したり監督することは簡単ではありません。管理会社の選定を誤ると、物件の価値が下がったり収益が悪化したりする可能性があります。
経済状況が不安定な国の見極めが難しい
投資先の国によっては、政治・経済の情勢が不安定なため、長期的な不動産投資に適していない場合があります。特に新興国では、政治や経済の情勢が短期間で大きく変化するリスクが高いため注意が必要でしょう。
内政が悪化したり政権交代により制度が変わったりすれば、経済が混乱し投資市場も不安定になって、想定通りの収益を得られない可能性があります。さらに深刻なケースでは、戦争や内紛・クーデターなどにより国情が悪化すると、不動産の所有権に影響が出たり、現地への訪問自体が困難になったりする恐れもあります。
高利回りの魅力に惑わされないことも重要です。例えば南アフリカなど利回りが10%前後の国もありますが、利回りの高さはリスクの高さの裏返しであることが多いです(※)。表面的な数字だけでなく、投資先国の政治的安定性や法制度の整備状況、経済成長の持続性などを総合的に判断する必要があります。
(※)参考:Global Property Guide
融資を受けるのが難しい
日本国内とは異なり、海外不動産を購入する際の融資は難易度が高い傾向にあります。現地の銀行から融資を受けるには、現地での信用実績や収入証明、高額な頭金など多くの条件をクリアする必要があり、借入の審査基準が厳しくなっています。
一方、日本の金融機関も海外不動産投資に対しては慎重なケースが多く、融資を受けられる選択肢が限られているのが実情です。そのため、多くの場合は自己資金での購入が基本となり、投資規模が手持ち資金によって制限されてしまいます。投資を検討する際は、融資の可能性を事前に十分調査し、必要な自己資金を計画的に準備しておくことが重要になります。
国ごとの法律や税制の違いがリスクになる
海外不動産投資では、国ごとに異なる法制度や税制を理解しておく必要があります。外国人の不動産所有に制限を設けている国や、取得時・保有時・売却時にそれぞれ異なる税制が適用されるケースも多いです。
現地の法制度に不慣れな場合、契約時のトラブルに巻き込まれるリスクが高まるでしょう。さらに注意すべきは、税制や法制度の突然の変更です。日本でも税制改正が行われるように、投資先国でも制度変更が行われ、それにより当初の収益予測が大幅に変わる可能性があります。
法制度の変更リスクを事前に予測するのは困難です。そのため、想定外の変更にも対応できるように、資金的な余裕を確保しておくことが重要です。
信頼のおける現地の賃貸管理会社を見つけるのが難しい
海外不動産投資をする際には、物件管理を現地の管理会社に委託するのが一般的です。しかし、現地の管理会社のなかには、管理体制が不十分で信頼性に欠けるケースもあります。管理会社の対応が悪ければ、適切なメンテナンスが行われず物件の魅力が損なわれるでしょう。
その結果、空室期間が長引いたり、家賃回収の遅延が発生したりと収益の悪化につながります。さらに入居者審査が甘い会社では、トラブルの多い入居者を受け入れてしまい、予想外の損失を被るリスクも高まります。
海外の不動産投資に向いている人の特徴

海外不動産投資に向いているのは、以下のような人です。
- 日本で不動産投資の経験がある人
- キャッシュだけでも海外不動産を購入できる人
- 将来的に海外移住を検討している人
日本で不動産投資の経験がある人は、賃貸経営の基本的な仕組みや起こりうるトラブルを理解しているため、海外でもそのノウハウを活かしやすいでしょう。また、キャッシュだけでも海外不動産を購入できる十分な資金力がある人は、融資の制約を受けずに投資機会を活用できます。海外不動産の融資は困難なケースが多いため、現金購入できる資金力は大きなアドバンテージになります。
将来的に海外移住を検討している人にとっては、投資を通じて現地の不動産市場や生活環境を事前に把握できる貴重な機会です。これらの特徴を持つ人は、海外不動産投資のリスクを適切に管理しながら、そのメリットを最大限に活用できる可能性が高いでしょう。
海外不動産投資で失敗しないためのポイント

海外不動産投資で失敗しないためのポイントは、以下のとおりです。
- 海外の不動産に関する法律や税金について学ぶ
- 別の投資方法と組み合わせる
- まずは国内の不動産投資で経験を積む
それぞれ詳しく解説します。
海外の不動産に関する法律や税金について学ぶ
各国の不動産の取得や運用に関するルールは、国によって大きく異なります。なかには外国人が土地を直接所有できない国もあれば、外国人に対して追加の税金を課す国もあります。
また法制度や税制は、予告なく変更される場合があり、想定通りの収益を上げられないリスクも考えられるでしょう。投資を検討している国がある場合は、その国の不動産登記制度や関連法律、税制などについて事前に詳しく調べておくことが重要です。専門家への相談も積極的に活用し、法的リスクを最小限に抑える準備をしておきましょう。
別の投資方法と組み合わせる
資産運用の方法には、株式投資や国内不動産などさまざまありますが、海外不動産のみに集中投資するよりも分散投資がおすすめです。国内不動産や株式にも投資すれば、海外不動産で問題が生じた場合でもほかの資産から収入を確保できるでしょう。
経済環境の変化によって、特定の資産の投資収益が悪化する可能性がありますが、複数の資産に投資することでリスクを分散し安定した収益を目指せます。海外不動産投資においても、購入する物件を複数の国に分散することがリスクの軽減に効果的でしょう。特定の国でカントリーリスクが表面化した場合でも、他国の物件から収益を得られれば、投資全体への影響を最小限に抑えることが可能です。
まずは国内の不動産投資で経験を積む
不動産投資が未経験にも関わらず「儲かる」「利回りが良い」といった理由だけで、海外不動産投資を検討する方がいらっしゃいます。しかし不動産投資が未経験の方は、以下のような内容を実務を通して理解できるため、まず国内の不動産で賃貸経営を経験することをおすすめします。
- 賃貸経営で得られる収益の仕組み
- 支払うべき税金
- 運営中のトラブル
- 賃貸経営の注意点
- 賃貸管理会社とのやり取り
国内の不動産投資には一棟アパートや戸建て、ビル投資などがありますが、まずはワンルームマンション投資のような比較的リスクが低く管理しやすい物件から始めてみましょう。段階的に経験を積み重ねることが、成功への近道となります。
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まとめ
海外不動産投資は、資産の分散化や高い収益獲得の可能性から魅力的な投資手法です。しかし、物件管理の困難さや法制度の違い、融資の制約などのリスクも存在するため、成功するためには十分な準備と専門知識が不可欠です。
不動産投資を検討する際は、まずは国内物件で投資経験を積みながら、投資先国の法制度や税制についても詳しく調査することが重要です。また、海外不動産投資のみに集中するのではなく、ほかの投資手法と組み合わせたバランスの取れたポートフォリオを構築することで、リスクを分散しながら安定した資産形成を実現できます。